2013年5月28日火曜日

Les Confessions / Jean Jacques Rousseau



わたしはぼんやりと木の幹に石を投げていた。いつもの腕前で、ということは、ほとんどひとつも当たらなかったという意味だが。この遊びの最中にふとわたしは、不安をしずめるためにこれで占ってみようと思いついた。そこでこう自分にいった。「この石を目の前のあの木に投げてみよう。当れば、救われる徴候だし、失敗すれば地獄に落ちる徴候だ」とうそぶきながら石を投げる。ひどく胸がどきどきし手がふるえていたが、運よく木のまんなかに命中した。いや、実はなんでもないことなのだった。すぐそばの非常に太い木をわざと選んだのだから。それ以来、わたしはもう自己の救いを信じて疑わなくなった。この時のことを思い出すと、自らを笑っていいのか悲しんでいいのか、わたしにはわからない。