2014年8月29日金曜日

Des droits et devoirs du citoyen / Mably

確かに、市民たちが間抜けで、愚かで、何も知らなければ、市民たちは平安に暮らすだろう、と私も思います。けれども、私やあなたにとって、こんな平安にどのような意味があるのでしょう。それは麻痺患者の諸器官を縛り付ける痺れに似ています。あなたの召使があなたに仕えるように、あなたの市民は卑しい傭兵のように国家に仕えるでしょう。彼は服従するでしょう。貧窮の連続と我慢が彼を愚鈍にしてしまうからです。しかし、この麻痺状態、この愚かな忍耐、この死にも似た不幸な平安、こんなことを目標として人間は集結したのでしょうか。それが社会の幸福と力を作るでしょうか。あなたは、冷たいミイラが良き市民となることを望むのですか。

2014年6月4日水曜日

Stato di eccezione / Giorgio Agamben



例外状態は、究極においては、アノミーとノモス、生と法、権威と権限とがどちらともつかない決定不能性の状態にある閾を設けることによって、法的―政治的な機械の二つの側面を分節すると同時にともに保持するための装置である。それは、アノミーがなおも法秩序との関係を保っており、そして規範を停止する権力が生を直接的に掌握しているというような、ひとつの本質的犠牲に基礎を置いている。二つの要素が相互に連関しあっていながらも、概念的には時間の点でも主体の点でも区別された状態にとどまっているかぎり、二つの要素のあいだの弁証法はそれでもなおなんらかの仕方で機能しうる。しかしながら、それが唯ひとりの人格のうちで合体しようとする傾向を見せるときには、そしてそれらがつながりあい、どちらともつかない決定不能状態に陥ってしまうような例外状態が規則に転化するときには、法的―政治的体系は死を招く機械に変貌してしまう。