2006年5月4日木曜日

冬のサナトリウム / あがた森魚



ほんの少しだけれど 陽が射し始めた
雪明り 誘蛾灯
誰が来るもんか 独人

荒野から山径へ 邂逅はまぼろし
弄びし夏もや 何が視えたんだろうか
抱擁て

十九歳十月 窓からたびだち
壁でザビエルも ベッドで千代紙も
涕泣いた


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