2005年6月28日火曜日

俺様の宝石さ / 浮谷東次郎



2月26日


 お姉ちゃまへ


いやはや、ずぶんほめてくれてありがとう。ビザの切りかえのこと、家の人はほめると思ったけど、僕自身はまだ物足りないんだ。まだ僕のベストではないから。


それよりも夕やみ迫るロックフェラーのRCAビルの前、高級な野外スケートリンクに一人のガニマタの下手くそな背の低い男が、腕をうんとまくり上げて、「ちくしょう、ロックフェラーなんか」と、たまらなくなる気持ちに押されて何度も何度も転びかけ、転び、また尻を出っ張らして立ち上がり、そこを出る時にはビッコをフラフラひかなくては歩けなくなるまで、休まず、うまく滑ろうと努力しながら、新しく、清いファイトを、勇を、ふるいたせた僕を理解し、認めてもらいたい。ーーーマドンナの宝石ならず。俺様の宝石さ。


『図々しい奴』の中で「誰かを怖いと思ったらヘソのことを考えろ。誰の腹の真中にも同じヘソがあるんだ」といっているが、そのとおりだね。もう僕には怖いものなんて何もない(ただ勉強があるだけさ)。ヘソのこと、己れの力、労働と信念、未来に誇りを持てば、怖いものなんてあるはずないよ。


NBC、タイムがNOといったら「未来の大人物を雇う名誉を逃したな」と思ってやるつもりでいます。うぬぼれじゃない。心理学的にだってこう思えば新しい考えが、希望が、勇気がふき上げてくるよ。ロックフェラーがコロンビア大学に土地を貸しているんじゃなくて、借りているんだということを知った時(センターの土地)滑稽な気がしたよ。ーーー僕の大野心は、大学を創設し、そのすべての経費をまかなうことなんだから、ーーーロックフェラーの比じゃない。 





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