2009年2月27日金曜日

Riot In Chocolate Logos / SPANK HAPPY



真夜中の闇よりも黒い
これ一粒だけでいいの
どんなお薬も効かない
アタシがキスするなんて

アフリカのジャズに詳しい
意気地なしのアナタになんて
予想も付かない事でしょ?
唇がクールすぎて震えてるわ
退屈だわ

失恋より甘いコレが
舌の上で溶けるだけで
どんな曲でも踊らない
アタシが裸になるなんて

フランスの哲学に詳しい
ウソつきのアナタになんて
理解できないことでしょ?
指先がホットすぎて震えてるわ
くすぐったいわ

今ベルリンは深夜3時
さよならを言わなくちゃね
この国にはアタシを狂わせる
カカオは無いみたい

偉大なるハー○○ズが
優雅なる○○ハウスが
親愛なる○永が
このアタシを狂わせて
このアタシをダメにして
このアタシを喜ばせているだけ

世界を旅してるけど
生まれたときからずっと
アタシの媚薬はこれだけ
それ以外感じないの

ドイツの心理学に詳しい
意地悪なアナタなら
何か知ってたかもね
でも聴きたくないわ
そう 気持ちいいの
そう すぐ飽きるの

今モスクワは朝の5時
結論を言わなくちゃね
どうやらこの国には
まともなお砂糖も無いみたい
でもこうしていくら世界を回っても
アタシをおかしくする
このお菓子を売ってない国なんて
どこにもないみたい

偉大なるゴ○ヴァよ
優雅なる○○○ド○○コラよ
親愛なる○○製菓よ
あたしのこと狂わせないで
あたしのことダメにしないで
あたしのこと喜ばせないで

セクシーなハイ・ミルクよ
残酷なブラックよ
高性能なセミ・スイートよ
あなたにだけ従うわ
あなただけの言うこと聞くわ
あなただけについて行くわ




2009年2月26日木曜日

普通の恋 / 菊地成孔



二人が出会った場所は
お洒落な場所じゃなかったの
聞こえてくるよアーバン・ブルース
21世紀型のアース・ビート・ブルー
今は退屈と絶望が日課になった知らぬ同士
でも神様だけは上の方で見てた

二人が出会った場所は
この街にいくつもあった
聞こえていたよアーバン・ブルース
有線放送からのヒット・チャート・チェン
今はチョコレートとカッターナイフを
買いに来ただけお客同士
明日なんて知りたくもない
そして知るはずもない
普通の恋

彼は世界を毎日毎日毎日 呪い続けていたの
11歳でドストエフスキー
15歳でエヴァンゲリオン
最悪のコースに溺れていたの
ハンパに高いIQがいつでもいつでも邪魔になって
革命ばかりを夢見るけれども 何も出来ない
悶々として暮らすうちにいつの間にか憶えたことは
自分の手首をちょっと切ること

たった一度だけ恋をした事もあったけど
それはファーストキスの夜に考えられ得る最悪の結末を迎えた
女なんて

そう僕にはカッターナイフが必要
カッターナイフが必要
自分を切り裂く為に
だからコンビニに行かなくっちゃ
あのコンビニに行かなくっちゃ
二度と恋なんてするもんか

そこで彼氏を待ってたのは
驚くべき事だった
人類が決してやめようとしない
それはそこらに転がる
普通の恋

彼女は復讐をしてる事が解らなかった
子供の頃にパパにされた事に対する復讐を
不倫なんて当たり前
とても人に言えないような
醜いことなら何でもやった
友達なんて誰も居ない
アタシきっと死んだら絶対 地獄に堕ちるわ
宗教に入り神様にすがろうとしたこともあったけど
インチキくさくて誰も信じられやしなかった

結局チョコレートが必要よ
チョコレートが必要よ
あれがないと眠れないの
だからコンビニに行かなくっちゃ
あのコンビニに行かなくっちゃ
最悪な一日の終わりに

そこで彼女を待ってた運命
驚くには値しない
それは神が考えたいたずら
この世界に溢れる
普通の恋

二人が出会った場所は
お洒落な場所じゃなかったの
聞こえてくるよアーバン・ブルース
21世紀型のアース・ビート・ブルー
今は退屈と絶望が日課になった知らぬ同士
でも神様だけは上の方で見てた

二人は出会ったときに 突然胸が痛みだした
聞こえていたよアーバン・ブルース
恋の始まりはいつもアーバン・ブルース
まさかこの僕が
この私が
何が起こったのかわからない
でも神様だけは上の方で笑って言ったの
それが普通の恋

普通に恋をして
普通に手を繋いで
普通のキスをして
泣いたり笑ったりしたの
普通に抱き合って
普通に甘えあって
普通にケンカして
泣いたり笑ったりしたの
これはどこにでもある
誰にでもある
そんなありきたりな当たり前のお話
これはどこにでもある
聞いたことある
そんなありきたりなつまらないお話

普通の恋




2009年2月25日水曜日

ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ / SPANK HAPPY



あなたの国は、小さい子のヌード写真がおおすぎるって、どのパーティーでもいわれた。
街中に裸の女の子の写真があふれていて、電車の中にまでつってあるのは絶対おかしいって。
でも、まさかそのうちの一人があたしだってことは、誰も気づかなかった。
あたしはこういう所に集まるマダム達は、エメラルドを頭にいっぱいつけすぎて
馬鹿になっちゃったんだって思って育ったの。

パパは「この国には肉食の文化が無いから。
みんな我々のように乳のみ仔牛から腐りかけの成牛までの、いろんな肉の味わいの差だとか、
ジビエの血の味の事とかが解らない。
だから子供の裸ばかりを有り難がるんだ。
一種の国家的変態だよ」っていうお得意の演説で、
腐りかけの成牛みたいなママを喜ばせてる。
彼女はキャビアを食べている人を見ると鼻をつまむ。
小さな卵を食べるのは野蛮人だって。

フォクシー1粒でアダルトヴィデオの女の子みたいになれるってきいたから、
あたしは自分を魔女だっていってる友達に頼んで、パーティーに持ってきて貰い、
最高に良く効きますように。そしてあこがれのトレーシーみたいになれますようにって
魔法をかけてもらってから、彼女とキスをして、コアントローで飲みほした。
どこかで生きていれば35になるのね。あたしのトレーシー・ローズ。
あなたは、あたしが知るかぎり本当の天才。そして天使。

あなたとパパの書斎で出会った日のことは一生忘れないわ。
黒革の表紙の本の裏に隠されていた80年代のVHS。
あのヴィデオキャセをパパから盗んでから、あたしの人生は変わった。
あれがバイブルになったの。
あたしは今、あなたがデビューした年と同い年で、あなたの娘ぐらいの年だわ。
そう思うと、とっても変な気分。
まだフォクシーは全然効いて無いみたい。
口の中は、熱いチェリーの味ばっかり。

生きてれば74歳になるのね。あたしのグレース・ケリー。
生きてれば15歳に成るのね。あたしのジョンベネ・ラムジー。
あなた方の事を考えると、死ぬほどうっとりして、死ぬほど憂鬱になるの。
パパの命令でお医者様にマリリン・モンローそっくりに改造されたり、
本当にある国の王女になるなんて絶対に間違ってる。
でも死ぬほど羨ましい。そして死ぬほど怖い。
あたしはこんなに死ぬほど羨ましくて、死ぬほど怖くて、死ぬほど退屈。

ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ

たくさん血が出たり骨を折っちゃったりするのは僕の時代にはあんまり好まれなかったんです。
フェティッシュとか、精神分析とか、そういう詰まらないものが流行っていて。
でも、彼女達が好きなものが結局、宝石と香水と毛皮だって事は永遠なんですよ。
裸に毛皮だけ着せて、香水の瓶を割って、お腹を軽く傷つける。
詰まらないプレイですけど、効果は凄いんです。
真っ赤な血がうっとりするような香りで。

宝石も勿論たくさん使いました。
トパーズ、アメジスト、オパール、こういう物には、水晶以上の魔力と、
生体科学的な影響力があって、まあ、若返るんだと。
こういう話をすると、馬鹿にして嘲けり笑っている連中ほど、瞳孔が開いているのが解る。
後で必ず呼び止められるから絶対。
それで、彼女達の宝石箱から一つ残らず出させてね。
身につけさせるんじゃないですよ。体の中に入れてゆくんです。

滑稽といえば滑稽だし、でも芸術的とも言える。
お腹を宝石でパンパンにしたご婦人が喘いでるんですから。
勿論、楽しくも何ともなかった。気持ちよくも何ともなかった。
嬉しくも何ともなかった。
この国の社交界の一部では、こういったことが何百年も続いてるんだなって思うと、
変に敬虔な気持ちにさえなりかけたもんです。
日本人だからでしょうね。
僕は20歳過ぎてたんだけど、誰もが15歳ぐらいだと思っていて。

最近はちゃんとクラブがあったりするんですよ。
卓もサウンドシステムもすごく充実していて。
ヴァルスやポルカが終わると、変な、聴いたこともないオーストリア語のハウスみたいのがかかるんですけど、
みんなハイヒールに革靴だし、っていうか、踊りが凄くて、
笑うのを我慢するのに苦労しました。
嫌な感じの嘲笑しかできないから。
生まれてからずっとそうなんです。
復讐心ですか?どうだろう。今の東京の子供に比べればね。

アメリカのポルノ女優に憧れてる。っていう日本人の女の子が居て、
さっきフォクシー飲んだの。って、
この子は全然踊って無くて、目をトロンとさせて、年寄りばっかり狙ってた。
世界中に行ったけど、どこも何も変わらない。
俺みたいになるなよ。って誰かに思ってた頃もあったんですけど、
今はそんな誰かも居ない。
生まれて初めてです。自分からキスしたいなって思って。
でも諦めました。彼女は消えてた。

ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ





2009年2月24日火曜日

アマイカゲ / EGO-WRAPPIN’



会いたい心はポッカリと浮かんで
空回る糸すっかりちぎれた
目を凝らし堪えきれぬほどの速さは掴めない 急速に足りない
噛みしめ味わった錯覚で全て 
感じ取る手一杯に満たす 
流れるあの場所へ 傷あわてて舐めて癒す
言葉は途切れたまま ひるんだ空を見たいのはアマイカゲ
音掴む手 肌に吸い付く感触は 
やりきれない切なさをも遠ざける
震えたあの言葉 影さえぎる 
肩越しに揺らいで見える風が 来る朝に涙見えてもふたりはたつ
見守った道通り過ぎるまで

思い焦がれて 探させずに居た夢のありか
音震わせ抱き合って感じるときを
爪の先まで夜は待ち遠しい
震えたあの言葉 影さえぎる 
肩越しに揺らいで見える風が 来る朝に涙見えてもふたりはたつ
見守った道通り過ぎるまで


2009年2月13日金曜日

イメージの詩 / 吉田拓郎



これこそはと信じれるものが
この世にあるだろうか
信じるものがあったとしても
信じないそぶり
悲しい涙を流している人は
きれいなものでしょうね
涙をこらえて笑っている人は
きれいなものでしょうね

男はどうして女を求めて
さまよっているんだろう
女はどうして男を求めて
着飾っているんだろう
いいかげんな奴らと口をあわせて
おれは歩いていたい
いいかげんな奴らも口をあわせて
おれと歩くだろう

たたかい続ける人の心を
誰もがわかってるなら
たたかい続ける人の心は
あんなには燃えないだろう
傷つけあうのが怖かった昔は
遠い過去のこと
人には人を傷つける力があったんだろう

吹き抜ける風のような
おれの住む世界へ
一度はおいでよ
荒れ果てた大地にちっぽけな花を一つ
咲かせておこう
おれもきっと君のいる太陽のあるところへ
行ってみるよ
そしてきっと言うだろう
来てみて良かった 君がいるから

長い長い坂を登って
後ろを見てごらん 誰もいないだろう
長い長い坂を下りて
後ろを見てごらん
皆が上で手を振るさ
きどったしぐさがしたかったアンタ
鏡を見てごらん
きどったアンタが映ってるじゃないか
アンタは立派な人さ

激しい激しい恋をしているおれは
いったい誰のもの
自分じゃ言いたいのさ
君だけのおれだと 君だけのものだと
裏切りの恋のなかで
おれは一人もがいている
はじめからだますつもりでいたのかい
僕の恋人よ

古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船を今動かせるのは
古い水夫じゃないだろう
なぜなら古い船も新しい船のように
新しい海へ出る
古い水夫は知っているのさ
新しい海のこわさを

いったい
おれ達の魂のふるさとってのは
どこにあるんだろうか
自然に帰れっていうことは
どういうことなんだろうか
誰かが言ってたぜ
おれは人間として自然に生きてるんだと
自然に生きてるって
わかるなんて
何て不自然なんだろう

孤独をいつの間にか
淋しがり屋とかんちがいして
キザなセリフをならべたてる
そんな自分を見た
悲しい男と悲しい女の
いつものひとりごと
それでもいつかは
いつものように慰めあっている




2009年2月3日火曜日

Theme song under the cloudy heavens / SPANK HAPPY



ダークスカイ こんな鉛色の空と海の肌寒い丘で
最初のキスをしてるなんて まるで地球が終わる日みたいだ
ごらん灰色の巨大な虹 君の瞳の彼方見つめながら
このキスが離れる前に この歌が始まる前に言わせて
I LOVE YOU

アリスとロリータが混雑させる ファーストフードのトイレの中
歴史は回転しすぎて目が回り メニエールで入院中
そんな日に彼女が選ばれた理由は 天使にも悪魔にも分からない
祝福かはたまた天罰か 神々の口はいつもいつも固い

駐車場のヨハネが近づいて「ルビーのオルゴールはいかが?」
好きなモノは全部中毒にしなくちゃ意味がない彼女の心は
言葉はキスはセックスは しかし全部全部ノイズだった
駐車場のヨハネは微笑んで「さあ歌を歌ってごらん」

私はスパンクハッピー あなたをさらいに来た

山のようなラブレターが 狂った哀しみ達が
朝刊と一緒に届けられて 彼女を無口に変えた
ひとつだけ彼女が楽しみにしたのは 教会で歌う賛美歌になった
祝福かはたまた天罰か 神々の歌はみんなみんな甘い

オルガンのユダが近づいて「そろそろお家に帰りなよ」
嫌な奴にみんな氷の微笑みをくれてやる彼女の瞳は
痛みは愛はメロディは しかし全部全部空虚だった
オルガンのユダは悲しんで「さあ歌を歌ってごらん」

私はスパンクハッピー あなたに買われに来た