2009年12月25日金曜日

フロイドと夜桜 / 菊地成孔



夢から覚めても夢の
夢の中でまた夢の
夢ばかり見てる夢の中
さまようアタシは今日も
コワい夢やアマい夢を見たの

恋に破れても恋を
恋に醒めてても恋を
恋ばかりしてるその中で
恋するバカなアタシは
ワルい人がワルい人が好きなの

憂鬱だわ こんなにも悲しいわ
あんなにも上手く行ってた筈なのに
こんなのは地獄だわ このままじゃ今よりも
おかしくなっちゃいそうよ ああでも

あいつの背中の刺青は 春の夜桜よパッと散りそうな
粋で鯔背で艶っぽい 思い出すたびにね 気を失いそう

夢から覚めたら夢で
夢見てたらその夢で
夢見てる夢の夢ばかり
醒めないアタシは今日も
コワい夢やアマい夢を見るの

恋が終わっても恋を
恋が始まると恋を
いつまでたっても恋ばかり
やめないアタシはさっき
スゴい現実をヤバい現実を見たの

おかしいわ どうでもいいあんな奴
酔っぱらってキスしてやった だけなのに
恐いわあたしのカルマが あんな奴
求めてたとしたら ねえねえ

クリスマスクリスマスお釈迦様 あなた今夜はね?お暇でしょ?
こんなあたしの愚かさを 蓮の葉の上で お説教して

困ったわ いつまでも止まらない
苦しみが ガソリンの雨が降るみたい
ムカツクわアタシの無意識が
こんなことさせてたなんてウソでしょ ねえねえ

先生先生ジグムンド あなた博士でしょ?心理学の?
あたしの胸の夜桜を 二度と散らせずに忘れさせて
クリスマスクリスマスお釈迦様 あなた今夜はね?お暇でしょ?
悲しき乙女世界中のアタシ達をみんな叱ってほしいの


2009年12月22日火曜日

拝啓ミス・インターナショナル / SPANK HAPPY



ねえミス・インターナショナルおてがみかくのははじめてなの
わたしはあなたのファンです 今も手が震えているの

ねえミス・インターナショナルあなたのクラウン被りたいの
もしもよかったら一度だけ絶対に返しますから

あなたはテレビの前に座っているあたしたち現代の少女達の
言うならば英雄で しかも最後の神だと言えるでしょう

世界中継の夜にはお化粧をして着飾ってテレパシーを送るわ

I PRAY EVERY DREAMING
毎朝 神様に祈るの
友達になれますように

I PRAY CANDY FORTUNE
レディになりたいな
I SING FOR YOUR BEAUTY
I SING FOR MY BEAUTY

世界はまだ醜いわ

ねえミス・インターナショナルあなたの彼氏はどんな子なの?
あなたと変わらないぐらい奇麗な男の子なんでしょ?

あのねミス・インターナショナルあたしは彼氏が欲しくないの
あたしの町には奇麗な男の子なんていないんだもん

世間じゃ愛されすぎる危険なんて馬鹿げた事までを
女の子が気にしなくちゃ成らない。そんな憎むべき犯罪もあるわ

ナイフも花束に変える あなたの偉大なるビユーティーを世界に

I PRAY EVERY STARS
お星様見ながら祈るの
美しく成れますように

I PRAY SUGAR PUZLLE
学校が始まるわ
I HAVE TO GO TO SCHOOL
I HAVE TO BE STUDY

それじゃまたね キスします

I LOVE YOU
ミス・インターナショナル


2009年9月25日金曜日

砂渡し爺 / 板尾創路



白い着物がよく似合う
大きな瞳に僕は狂う
人は砂かけと言うけれど
僕はそうは思わない

いつも隣にいるよ
君に砂を渡し続ける
それが僕の幸せ

砂渡し 砂渡し
砂渡し爺
渡し続けるだけ
もらう事はない

狂った世界がよく似合う
かすれた声に僕は酔う
人はババアと言うけれど
僕はそうは思わない

いつも隣にいるよ
君に砂を渡し続ける
それが僕の生きざま

砂渡し 砂渡し
砂渡し爺
渡し続けるだけ
もらう事はない

もらう事はない




2009年8月29日土曜日

生きてることが辛いなら / 御徒町凧



生きてることが辛いなら
いっそ小さく死ねばいい
恋人と親は悲しむが
三日と経てば元通り
気が付きゃみんな年取って
同じとこに行くのだから

生きてることが辛いなら
わめき散らして泣けばいい
その内夜は明けちゃって
疲れて眠りに就くだろう
夜に泣くのは赤ん坊
だけって決まりはないんだし

生きてることが辛いなら
悲しみをとくと見るがいい
悲しみはいつか一片の
お花みたいに咲くという
そっと伸ばした両の手で
摘み取るんじゃなく守るといい

何にもないとこから
何にもないとこへと
何にもなかったかのように
巡る生命だから

生きてることが辛いなら
嫌になるまで生きるがいい
歴史は小さなブランコで
宇宙は小さな水飲み場
生きてることが辛いなら
くたばる喜びとっておけ




2009年6月27日土曜日

ROCKET / G.RINA



僕はかつてロケットに乗ることを夢見ていた
輝く宇宙に向かって! 
大量の燃料を使って、友達や家族を見下ろして、
僕は夢をかなえる旅にでた
しばらくすると、燃料はすぐに燃え尽きた
そして僕のまわりには誰もいない
真っ暗な果てしない空洞の中
僕はこれといった答も見つけることができずに、孤独だった
憧れってこんなものだったっけ
僕は目を閉じて
川べりで君と夜空を見上げていた頃を想い出す
ようやく僕にとって、豪華なロケットは
必要でなくなったのかもしれない
いつか僕は最もまばゆいものを心のなかで見つけるだろう

Once I fancied myself riding on a rocket.
to the shining universe !
Using a lot of fuel, looking down on my friends and family,
I took a trip to fulfill my dream.
after a while, fuel burned out quickly
and nobody was around me.
Inside of a pitch-black endless hole.
I found no special answer and I was alone.
I couldn't recall what I was yearning.
I closed my eyes, and remembered the time
I looked up at the night sky with you on a riverbank.
I found out that a gorgeous rocket might be
unnecessary for me any longer.
Someday I will find the most dazzling thing inside my soul.





2009年6月26日金曜日

サーカスの娘 / G.RINA



空中ブランコの快楽 足下の世界を蹴っ飛ばす
だけど、この手を放して跳べばもう
生命ごと彼のもの 生命ごと彼のもの
その手を放さないで しっかり握ってね

いつぞ流した涙も 来たる何かを信じる為と
費やしてしまうのが美しい、
コインとして数えて コインとして数えて
惜しみなく使い果たせ 惜しみなく使い果たせ

明日死んでしまうかもしれないわ
それなら今日という日に賭けては
いけない命があるものかしら
そうよ、サーカスの娘

明日死んでしまうかもしれないわ
それでは今宵 此の場で踊れば
報われぬ、とつぶやく間もないわ
サーカスだけで見る夢

ナイフ使いの標的 愛しむべきそのしなる手首
縛られた体こそは正直
ええ、望むところよ ええ、望むところよ
怖れるものはないの 恥じるものもないの

いつぞ流した涙も 来たる誰かを信じる為と
費やしてしまうのが美しい、
コインとして数えて コインとして数えて
惜しみなく前へ進め 惜しみなく前へ進め

明日死んでしまうかもしれないわ
それなら今日という日に賭けては
いけない命があるものかしら
そうよ、サーカスの娘

明日死んでしまうかもしれないわ
それでは誰かの為に踊れば
救われる憧れもあるかしら
サーカスだけで見る夢

2009年6月24日水曜日

ジャンニ・ヴェルサーチ暗殺 / SPANK HAPPY



この退屈な国には もうお金がないわ
街が絶滅しそうね あなた最後の望みよジャンニ
ホスト通いの友達や ゲイのみなさんだけじゃなく
アタシも愛しているのよ 震えるほどの気品よジャン・ポール

昼の恋は 恋はあなたと
夜の愛も 愛も
裸になっても 心は
Je t'aime, je t'aime, ...
あなたを着てるの

この退屈な男は もうお金がないわ
優しいだけじゃダメだわ あなたを買いに行かなきゃカルヴァン
でもこの人が好きなの 悪いのはアタシだわ
アタシ生まれ変わったら 絶対貴族になるのクリスチャン
クリスチャン・D

20年前アタシ産まれた頃のお話をして ねぇダーリン
アタシあなたの話とっても大好き お金で虹が架かる空
夜の東京タワー2人でのぼり いつか見れるの?もう一度?
あのねどうして今は景気が悪いの?
資本主義はきっと 恋愛よりも難しいのね
それでもあたし あなたのキッスで結局
Je t'aime, je t'aime, ...
でもお金がないの

この最高な街には 今お金はないけど
あなたを愛する人々は こんなに沢山いるわジャンニ
あなたが撃たれたその日に ニュースであなたを見たけど
美し過ぎる瞳だわ あれじゃ殺されちゃうわねジャンニ
ご冥福を祈るけど 何も心配ないわ
あなたの気品と精神は アタシたちが受け継いでくわ
ずっとオシャレでいたいわ 我が命果てるまで
いまアタシが着てるのは ママから譲り受けたディオール
今夜は星が綺麗だわ 赤坂の夜はシンパシック
いつかアタシが死んだら 天国で会いましょうねジャンニ


2009年6月14日日曜日

花 / ASA-CHANG & 巡礼



花が咲いたよ
酷く風に怯えた
誰も見たことない花が咲いていたよ

花など無い
それはあるはずもないと思ってたら
そしたら 花が咲いたよ
誰も見たことない 見えるはずもない 咲くはずもない花が咲いてたし
そこにやはり そこに確かに そこにあるだろう

花が咲いたよ
酷く風に怯えた
誰も見たことない花が咲いていたよ

そしたら 酷く風に怯えた
誰も見たことないそれは
花は風に怯えて 風に震えて 花は揺らされて
怯えていたようだ

花が泣いたよ
酷く風に打たれた
光を見たことない花が泣いていたよ

さっきの風の音よりもっと嵐で
そしたら 花が泣いていたよ
夢などない もう風などない もう雲も動かねど
なのにそれなのに花は 闇に愛して 闇に歌い 闇に泣き
なのにそれなのに花は 闇に飾られて 選ばれて 愛されて
光を見たことない花は 選ばれ愛され 闇を愛していたようだ

花よ
花の不屈の心に光が笑ってくれるように
引かれぬように 揺らされぬように 流されぬように 生きられるように

花よ 月を見よ 星は駄目よ闇よ
月は本当の光よ
今 星も綺麗よ
月の光のようなものが
本当の星の光のような闇が 駄目よ闇は
月は本当の光よ

ならばそれならば
闇の波を押し返すのだ 闇の住みかを紐解くのだ

花に光を
それを願ったんだ

そしてそしたら
花は答えたんだ
一度だけ答えたんだ
「光は要らね 水を下さい」




2009年6月3日水曜日

官能小説家 / 高橋源一郎



夏子は眠りと覚醒の狭間をゆっくりと渡ろうとしていた。それから不意にたぎるような哀しみがやって来た。きりきりと痛むような、けれども定かではない記憶が、遥か下の方で蠢いていた。ああ。夏子は声にならぬ声をあげた。イヤ。夏子は叫ぼうとした。なにかが夏子を連れ去ろうとしていた。どうすれば人の声の聞こえない物の音のしない静かなところに行けるだろうつまらないくだらない面白くない情けない哀しい心細いこうやってあたしは生きてゆくのかこんなにも寂しいのに。その時、夏子の耳にか細い声の歌が聞こえた。渡るにゃ怖し渡らねば。それは夏子自身が歌う声だった。

そうだ。あたしは渡らなければならないのだ。そう決めたのだ。するだけのことはしよう。あたしはなんのために生まれてきたのか、なにができるのか、それを知りたい。そう思ったのだ。暖かいところでまどろみ、無心に生きることがどれほど心やすらぐことであっても、そこから身を離そう。苦しいのはあたしだけじゃない。そう思った。誰かがいってた。なんのためにと問うてはいけないのだ。

その時、凍えるような寒さが躯の芯からやって来た。またここに戻ってきてしまった。夏子はそう思った。そこはシーツの中ではなかった。水に濡れた冷たいタイルの床に座りこみ、それよりさらに冷たい便座を抱きかかえるようにして、夏子は少しずつ目を覚ましていった。頭は重く、何度も繰り返し吐いたせいで喉が痛かった。

書かなくちゃ。いま、夏子が考えることができるのはそれだけだった。ほんの少し書くことを覚えただけなのにもうこんなに苦しかった。苦しいよ、苦しいよ。夏子は、桃水に何度も訴えた。すると、桃水は、それは君が正しい道を進んでいる証拠なのだと答えるのだった。書くことは苦しい、書くことは異常だ、誰もなにも書かなくても生きていける、なのに君は書こうとしている、君は狂いかけている、だったらもっと狂うのだ、もっともっと狂ってついに書くことが苦痛でなくなるまで。




2009年5月21日木曜日

幻の月 / オカモトサダヨシ



あかいくだものを がりりと噛みました
濡れたくちびるが ぬらぬらと光ります

柔らかい布で 体を拭きました
こぼれる雫は 誰の涙でしょうか

幻の月の影を ぼんやりと眺めてます
あらがえぬこの想いに 心はくすぶります

雨が降るまえの 匂いを嗅ぎました
気付かれぬ花が ひとりで咲いています

咽喉に流れる 水のつめたさ

なだらかな坂の上を カラカラと歩いてます
乾かない髪のままで 何かを冷ますように

幻の月の影が どこまでもついてきます
鎮まらぬこの想いに こころもあかくなるのです




2009年5月3日日曜日

FAIRWAY / スーパーカー



安心を買った
どうしてかココロを売って買った気がしてたら
「安心はどこか退屈と似てた」
そんななぜに撃たれていた

逃げてないこともない
だからどうってだけ
時間がないこともない
事件がないこともない

結局は今を忘れるなら
目の前のなれあいもためらいも
ありふれてると思っていたいだけ

安心で塗って毎日は流れた
「よかった」
そんな気がしながら
「安心がきっと毎日を似せてる」
ずっとダレてもつれていた

生きてないこともない
活きてないってだけ
自分がないこともない
意見がないこともない

名曲が今をなだめてるよ
まだ何か足りないって
ダレないであと何回言えばよかったんだ?

名曲は今も流れてるよ
目の前と向き合うとそれさえも
色褪せて行くと思ったら
負け





2009年4月26日日曜日

ランドマーク / 吉田修一



犬飼がふと思い出したのは、サハラ砂漠が広がるモータニアという国で、水汲み奴隷として働かされている若い男の言葉だった。本にはもちろんバンコクで強制売春をさせられている女の子たちの悲惨な生活も書かれていたのに、どうしてその地域の複合ビルの打ち合わせをしながら、アフリカのことを思い出したのかは分からない。
『ビラールと申します。』
その項には、そういうタイトルがつけられていた。奴隷にはたいてい、ひとつしか名前がないらしかった。そして、男の奴隷の名前はたいていビラールなのだという。
「ぼくがこの仕事をしているのは、お金のためじゃない、ご主人様のお役に立ちたいからなんだ」と彼は言う。

もちろんしゃべったことが、「主人」の耳に入るのを気遣っての言葉だ。ただ、このビラールは首都に来てから、いろいろと知恵もついていて、以前は想像もしなかった逃亡奴隷や、解放奴隷を支援する組織があることも、ぼんやりと見当がついている。
「ぼくがほんとうにほしいのは、給料さ。自分の仕事に見合った、決まった額のお金がほしいんだ」
世の中には給料をもらって働いている人がいることや、その人が夜は自宅に帰れることも、今ではぼんやりと知っている。

「だけど、給料をくださいってご主人様に頼んだら、ご主人様は、今のやり方がいいんだっておっしゃるんだ。ご主人様が食べ物をくださるんだし、ときにはお小遣いまでいただけるんだから、ぼくはご主人様の家にいるのが当然だってーーー。どうすればいいんだろう、ぼくは」

ーーーぼんやりと見当がついている。ーーー今ではぼんやりと知っている。

ふと自分の口が動いたような気がして、犬飼は我に返った。顔を上げると、さっきまでバンコクの地図を覗き込んでいたいくつもの顔が、まっすぐにこちらに向けられている。
「なんか言ったか?」と、首を傾げる部長に訊かれた。
「あ、いえ」と、犬飼は慌てて首をふる。




2009年4月8日水曜日

山の手マジックカーペットライド / G.RINA



コンクリート憂うエリート 君の云うこと ちっとも信じなくなったよ
一人相撲引退後の私と 五反田あたりで  再会するだろう
そんな訳でいつもめくらまし 無職のダーリンにあげる目覚まし
出勤前 あと一回関係したい なんぞその場しのぎの魂

マジックカーペッドライド 街をサーフィンしたい
マジックカーペッドライド 時代をサーフィンしたい
日々の選択で成り立つ人生 せめて着飾って君と会いたい

マジックカーペッドライド 街をサーフィンしたい
マジックカーペッドライド 時代をサーフィンしたい
日々の洗濯で濡れた憧れ  せめて鼻歌で乾かしてたい

袖ふれあうも絡みあえども 結局、幾許のいたわり
現世で結ばれ得ぬふたり メロドラマは百二夜目にお開き
歓楽街の電飾でめまいの新天地
ビンディした乙女に吸われて新境地
池袋経由聖地行き 君のように無関心になってみたい

「会いたい」さえ言えずに6丁目 今日から、夜に買われたエンジェル
札で胸元を撫でる あっちの朝をめざし飲み干すエーテル


マジックカーペッドライド 街をサーフィンしたい
マジックカーペッドライド 時代をサーフィンしたい
日々の選択で成り立つ人生 せめて着飾って君と会いたい

マジックカーペッドライド 街をサーフィンしたい
マジックカーペッドライド 時代をサーフィンしたい
日々の洗濯でもまれた憧れ いっそジャジーに乾かしなさい






2009年4月6日月曜日

Love Song / Supercar



「いつまでもそばにいてよ。もう僕を離さないで。もう君を泣かせたりしないよ。
意地悪で調子いいだけで、今日まで困らせたけど、もう僕に合わせなくていいよ。」

どうしても君に言い出せなかったって
言うまでもないよねって正直じゃないよねぇ?

「忙しいときも君に会いたくて仕方ないよ。そうでなきゃ甘えたりしないよ。
いつまでもそばにいてよ。もう僕も大人だから、ちょっとだけうそもついていいよ。」

どうしても君に言い出せなかったっけ
こうしてるうちに言い出せばいいのにねぇ?




2009年4月1日水曜日

All Imperfect Love Song / World’s End Girlfriend



窓を開けると そこは一面の銀世界
息が詰まる
銀と白と銀
銀を用いた何かで感心できるのは貨幣と皿だけ
それ以外はそこらじゅうに毒を廻らせる
毒が廻ると本当に悲しい
今にも泣き出しそうだよ 目も当てられない
お前はお前でなくなる
毒が廻って
お前はお前でなくなる
お気に入りの挨拶の合言葉も全部忘れてしまう
例えば朝食の時 妹がティンカーベルのまねをしたら
お前はピーターパンの真似で応えなければならないのだけど
気の毒にお前はお前でなくなっている
それはとても耳障りで妹は忽ちいなくなってしまって
朝食もストーブも掻き消えてしまって
何一つとしてそれまでどおりではいられない
お前はお前でなくなる
喜ぼうと喜ぶまいと一切関係無しに速やかに決定的にお前はお前でなくなる
そしてどんどん軽くなる
どんどんどんどん軽くなる

銀貨を口からねじ込んで
世界の終わりのガールフレンド
君はいない 君はいない 君はいない
今夜もまた 夢の中
お前は思い出のないような
あのような思い出もないような
誰も来ない 誰も来ない 誰も来ない 誰も来ない
たどり着けたら微笑んで
元の世界へ すぐに
たどり着けたら微笑んで
少し前のこと 全部忘れてしまってく
かけがえのないことも 掻き消えていくよ
だけどハニー これは出まかせなんて言わないで
少し落ち着いたならしゃがんでみて
詳細なことを想像してみれば
ここは何か確信に満ちた地平
大雪原
即興タイピングに失敗したら
息の根を止められるのは仕方がない
どのみち踊っていたいんだから

僕たちは踊り子
shall we dance tonight ?

静かな
おかしな音を歌っている

愛をあの子に
神をここまで
愛をあの子に



2009年3月24日火曜日

Cue / YMO




Give me a cue
I think I've nearly found you
Give me a cue
I can see all clues all around me
The sound of music
The crying of the air

The sound of music
The echo of the earth
I'm sick and tired of the same old chaos
Must be a way to get out of this cul-de-suc

Give me a cue
I Think I've nearly found you
Give me a cue
I can see all clues all around me
The sound of music
The crying of the air


The sound of music
The sound of my own voice





2009年3月1日日曜日

Sweets / SPANK HAPPY



疲れると幼児退行ねベイビー
調子いいといきなりクールねベイビー

キャンディーの惑星に僕ら
不時着したつもりになって
キスしたら
何とおどろいたことに
こんなに苦い
キミの唇

これはある意味の精神分析だベイビー
これはある意味でエステサロンだぜベイビー

マーマレードの海で溺れ 
命からがらにパーティを抜け出して
いじめたら
何とおどろいたことに
こんなに甘い僕のからだ

Will you tell me how to eat this? Baby?
ずっと裸でいる僕ら
アジアの国の生け贄みたいに
食べられちゃうの?

ゆっくりとお花が咲くみたいねベイビー
蜜に濡れた白い蝶々みたいだベイビー

生クリームのベッドでうなされて
ニューヨークの夢を見てたけど
抱き合えば何と恥ずかしいことに
こんなに気持ち良い僕らのsex&love

What do you have for a dessert ? baby?

ずっと裸でいる僕ら
神様のお人形みたいに遊んでるの?

食べられちゃうの?
遊んでるの?
食べられちゃうの?
遊んでるの?
食べられちゃうの?








2009年2月27日金曜日

Riot In Chocolate Logos / SPANK HAPPY



真夜中の闇よりも黒い
これ一粒だけでいいの
どんなお薬も効かない
アタシがキスするなんて

アフリカのジャズに詳しい
意気地なしのアナタになんて
予想も付かない事でしょ?
唇がクールすぎて震えてるわ
退屈だわ

失恋より甘いコレが
舌の上で溶けるだけで
どんな曲でも踊らない
アタシが裸になるなんて

フランスの哲学に詳しい
ウソつきのアナタになんて
理解できないことでしょ?
指先がホットすぎて震えてるわ
くすぐったいわ

今ベルリンは深夜3時
さよならを言わなくちゃね
この国にはアタシを狂わせる
カカオは無いみたい

偉大なるハー○○ズが
優雅なる○○ハウスが
親愛なる○永が
このアタシを狂わせて
このアタシをダメにして
このアタシを喜ばせているだけ

世界を旅してるけど
生まれたときからずっと
アタシの媚薬はこれだけ
それ以外感じないの

ドイツの心理学に詳しい
意地悪なアナタなら
何か知ってたかもね
でも聴きたくないわ
そう 気持ちいいの
そう すぐ飽きるの

今モスクワは朝の5時
結論を言わなくちゃね
どうやらこの国には
まともなお砂糖も無いみたい
でもこうしていくら世界を回っても
アタシをおかしくする
このお菓子を売ってない国なんて
どこにもないみたい

偉大なるゴ○ヴァよ
優雅なる○○○ド○○コラよ
親愛なる○○製菓よ
あたしのこと狂わせないで
あたしのことダメにしないで
あたしのこと喜ばせないで

セクシーなハイ・ミルクよ
残酷なブラックよ
高性能なセミ・スイートよ
あなたにだけ従うわ
あなただけの言うこと聞くわ
あなただけについて行くわ




2009年2月26日木曜日

普通の恋 / 菊地成孔



二人が出会った場所は
お洒落な場所じゃなかったの
聞こえてくるよアーバン・ブルース
21世紀型のアース・ビート・ブルー
今は退屈と絶望が日課になった知らぬ同士
でも神様だけは上の方で見てた

二人が出会った場所は
この街にいくつもあった
聞こえていたよアーバン・ブルース
有線放送からのヒット・チャート・チェン
今はチョコレートとカッターナイフを
買いに来ただけお客同士
明日なんて知りたくもない
そして知るはずもない
普通の恋

彼は世界を毎日毎日毎日 呪い続けていたの
11歳でドストエフスキー
15歳でエヴァンゲリオン
最悪のコースに溺れていたの
ハンパに高いIQがいつでもいつでも邪魔になって
革命ばかりを夢見るけれども 何も出来ない
悶々として暮らすうちにいつの間にか憶えたことは
自分の手首をちょっと切ること

たった一度だけ恋をした事もあったけど
それはファーストキスの夜に考えられ得る最悪の結末を迎えた
女なんて

そう僕にはカッターナイフが必要
カッターナイフが必要
自分を切り裂く為に
だからコンビニに行かなくっちゃ
あのコンビニに行かなくっちゃ
二度と恋なんてするもんか

そこで彼氏を待ってたのは
驚くべき事だった
人類が決してやめようとしない
それはそこらに転がる
普通の恋

彼女は復讐をしてる事が解らなかった
子供の頃にパパにされた事に対する復讐を
不倫なんて当たり前
とても人に言えないような
醜いことなら何でもやった
友達なんて誰も居ない
アタシきっと死んだら絶対 地獄に堕ちるわ
宗教に入り神様にすがろうとしたこともあったけど
インチキくさくて誰も信じられやしなかった

結局チョコレートが必要よ
チョコレートが必要よ
あれがないと眠れないの
だからコンビニに行かなくっちゃ
あのコンビニに行かなくっちゃ
最悪な一日の終わりに

そこで彼女を待ってた運命
驚くには値しない
それは神が考えたいたずら
この世界に溢れる
普通の恋

二人が出会った場所は
お洒落な場所じゃなかったの
聞こえてくるよアーバン・ブルース
21世紀型のアース・ビート・ブルー
今は退屈と絶望が日課になった知らぬ同士
でも神様だけは上の方で見てた

二人は出会ったときに 突然胸が痛みだした
聞こえていたよアーバン・ブルース
恋の始まりはいつもアーバン・ブルース
まさかこの僕が
この私が
何が起こったのかわからない
でも神様だけは上の方で笑って言ったの
それが普通の恋

普通に恋をして
普通に手を繋いで
普通のキスをして
泣いたり笑ったりしたの
普通に抱き合って
普通に甘えあって
普通にケンカして
泣いたり笑ったりしたの
これはどこにでもある
誰にでもある
そんなありきたりな当たり前のお話
これはどこにでもある
聞いたことある
そんなありきたりなつまらないお話

普通の恋




2009年2月25日水曜日

ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ / SPANK HAPPY



あなたの国は、小さい子のヌード写真がおおすぎるって、どのパーティーでもいわれた。
街中に裸の女の子の写真があふれていて、電車の中にまでつってあるのは絶対おかしいって。
でも、まさかそのうちの一人があたしだってことは、誰も気づかなかった。
あたしはこういう所に集まるマダム達は、エメラルドを頭にいっぱいつけすぎて
馬鹿になっちゃったんだって思って育ったの。

パパは「この国には肉食の文化が無いから。
みんな我々のように乳のみ仔牛から腐りかけの成牛までの、いろんな肉の味わいの差だとか、
ジビエの血の味の事とかが解らない。
だから子供の裸ばかりを有り難がるんだ。
一種の国家的変態だよ」っていうお得意の演説で、
腐りかけの成牛みたいなママを喜ばせてる。
彼女はキャビアを食べている人を見ると鼻をつまむ。
小さな卵を食べるのは野蛮人だって。

フォクシー1粒でアダルトヴィデオの女の子みたいになれるってきいたから、
あたしは自分を魔女だっていってる友達に頼んで、パーティーに持ってきて貰い、
最高に良く効きますように。そしてあこがれのトレーシーみたいになれますようにって
魔法をかけてもらってから、彼女とキスをして、コアントローで飲みほした。
どこかで生きていれば35になるのね。あたしのトレーシー・ローズ。
あなたは、あたしが知るかぎり本当の天才。そして天使。

あなたとパパの書斎で出会った日のことは一生忘れないわ。
黒革の表紙の本の裏に隠されていた80年代のVHS。
あのヴィデオキャセをパパから盗んでから、あたしの人生は変わった。
あれがバイブルになったの。
あたしは今、あなたがデビューした年と同い年で、あなたの娘ぐらいの年だわ。
そう思うと、とっても変な気分。
まだフォクシーは全然効いて無いみたい。
口の中は、熱いチェリーの味ばっかり。

生きてれば74歳になるのね。あたしのグレース・ケリー。
生きてれば15歳に成るのね。あたしのジョンベネ・ラムジー。
あなた方の事を考えると、死ぬほどうっとりして、死ぬほど憂鬱になるの。
パパの命令でお医者様にマリリン・モンローそっくりに改造されたり、
本当にある国の王女になるなんて絶対に間違ってる。
でも死ぬほど羨ましい。そして死ぬほど怖い。
あたしはこんなに死ぬほど羨ましくて、死ぬほど怖くて、死ぬほど退屈。

ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ

たくさん血が出たり骨を折っちゃったりするのは僕の時代にはあんまり好まれなかったんです。
フェティッシュとか、精神分析とか、そういう詰まらないものが流行っていて。
でも、彼女達が好きなものが結局、宝石と香水と毛皮だって事は永遠なんですよ。
裸に毛皮だけ着せて、香水の瓶を割って、お腹を軽く傷つける。
詰まらないプレイですけど、効果は凄いんです。
真っ赤な血がうっとりするような香りで。

宝石も勿論たくさん使いました。
トパーズ、アメジスト、オパール、こういう物には、水晶以上の魔力と、
生体科学的な影響力があって、まあ、若返るんだと。
こういう話をすると、馬鹿にして嘲けり笑っている連中ほど、瞳孔が開いているのが解る。
後で必ず呼び止められるから絶対。
それで、彼女達の宝石箱から一つ残らず出させてね。
身につけさせるんじゃないですよ。体の中に入れてゆくんです。

滑稽といえば滑稽だし、でも芸術的とも言える。
お腹を宝石でパンパンにしたご婦人が喘いでるんですから。
勿論、楽しくも何ともなかった。気持ちよくも何ともなかった。
嬉しくも何ともなかった。
この国の社交界の一部では、こういったことが何百年も続いてるんだなって思うと、
変に敬虔な気持ちにさえなりかけたもんです。
日本人だからでしょうね。
僕は20歳過ぎてたんだけど、誰もが15歳ぐらいだと思っていて。

最近はちゃんとクラブがあったりするんですよ。
卓もサウンドシステムもすごく充実していて。
ヴァルスやポルカが終わると、変な、聴いたこともないオーストリア語のハウスみたいのがかかるんですけど、
みんなハイヒールに革靴だし、っていうか、踊りが凄くて、
笑うのを我慢するのに苦労しました。
嫌な感じの嘲笑しかできないから。
生まれてからずっとそうなんです。
復讐心ですか?どうだろう。今の東京の子供に比べればね。

アメリカのポルノ女優に憧れてる。っていう日本人の女の子が居て、
さっきフォクシー飲んだの。って、
この子は全然踊って無くて、目をトロンとさせて、年寄りばっかり狙ってた。
世界中に行ったけど、どこも何も変わらない。
俺みたいになるなよ。って誰かに思ってた頃もあったんですけど、
今はそんな誰かも居ない。
生まれて初めてです。自分からキスしたいなって思って。
でも諦めました。彼女は消えてた。

ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ





2009年2月24日火曜日

アマイカゲ / EGO-WRAPPIN’



会いたい心はポッカリと浮かんで
空回る糸すっかりちぎれた
目を凝らし堪えきれぬほどの速さは掴めない 急速に足りない
噛みしめ味わった錯覚で全て 
感じ取る手一杯に満たす 
流れるあの場所へ 傷あわてて舐めて癒す
言葉は途切れたまま ひるんだ空を見たいのはアマイカゲ
音掴む手 肌に吸い付く感触は 
やりきれない切なさをも遠ざける
震えたあの言葉 影さえぎる 
肩越しに揺らいで見える風が 来る朝に涙見えてもふたりはたつ
見守った道通り過ぎるまで

思い焦がれて 探させずに居た夢のありか
音震わせ抱き合って感じるときを
爪の先まで夜は待ち遠しい
震えたあの言葉 影さえぎる 
肩越しに揺らいで見える風が 来る朝に涙見えてもふたりはたつ
見守った道通り過ぎるまで


2009年2月13日金曜日

イメージの詩 / 吉田拓郎



これこそはと信じれるものが
この世にあるだろうか
信じるものがあったとしても
信じないそぶり
悲しい涙を流している人は
きれいなものでしょうね
涙をこらえて笑っている人は
きれいなものでしょうね

男はどうして女を求めて
さまよっているんだろう
女はどうして男を求めて
着飾っているんだろう
いいかげんな奴らと口をあわせて
おれは歩いていたい
いいかげんな奴らも口をあわせて
おれと歩くだろう

たたかい続ける人の心を
誰もがわかってるなら
たたかい続ける人の心は
あんなには燃えないだろう
傷つけあうのが怖かった昔は
遠い過去のこと
人には人を傷つける力があったんだろう

吹き抜ける風のような
おれの住む世界へ
一度はおいでよ
荒れ果てた大地にちっぽけな花を一つ
咲かせておこう
おれもきっと君のいる太陽のあるところへ
行ってみるよ
そしてきっと言うだろう
来てみて良かった 君がいるから

長い長い坂を登って
後ろを見てごらん 誰もいないだろう
長い長い坂を下りて
後ろを見てごらん
皆が上で手を振るさ
きどったしぐさがしたかったアンタ
鏡を見てごらん
きどったアンタが映ってるじゃないか
アンタは立派な人さ

激しい激しい恋をしているおれは
いったい誰のもの
自分じゃ言いたいのさ
君だけのおれだと 君だけのものだと
裏切りの恋のなかで
おれは一人もがいている
はじめからだますつもりでいたのかい
僕の恋人よ

古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船を今動かせるのは
古い水夫じゃないだろう
なぜなら古い船も新しい船のように
新しい海へ出る
古い水夫は知っているのさ
新しい海のこわさを

いったい
おれ達の魂のふるさとってのは
どこにあるんだろうか
自然に帰れっていうことは
どういうことなんだろうか
誰かが言ってたぜ
おれは人間として自然に生きてるんだと
自然に生きてるって
わかるなんて
何て不自然なんだろう

孤独をいつの間にか
淋しがり屋とかんちがいして
キザなセリフをならべたてる
そんな自分を見た
悲しい男と悲しい女の
いつものひとりごと
それでもいつかは
いつものように慰めあっている




2009年2月3日火曜日

Theme song under the cloudy heavens / SPANK HAPPY



ダークスカイ こんな鉛色の空と海の肌寒い丘で
最初のキスをしてるなんて まるで地球が終わる日みたいだ
ごらん灰色の巨大な虹 君の瞳の彼方見つめながら
このキスが離れる前に この歌が始まる前に言わせて
I LOVE YOU

アリスとロリータが混雑させる ファーストフードのトイレの中
歴史は回転しすぎて目が回り メニエールで入院中
そんな日に彼女が選ばれた理由は 天使にも悪魔にも分からない
祝福かはたまた天罰か 神々の口はいつもいつも固い

駐車場のヨハネが近づいて「ルビーのオルゴールはいかが?」
好きなモノは全部中毒にしなくちゃ意味がない彼女の心は
言葉はキスはセックスは しかし全部全部ノイズだった
駐車場のヨハネは微笑んで「さあ歌を歌ってごらん」

私はスパンクハッピー あなたをさらいに来た

山のようなラブレターが 狂った哀しみ達が
朝刊と一緒に届けられて 彼女を無口に変えた
ひとつだけ彼女が楽しみにしたのは 教会で歌う賛美歌になった
祝福かはたまた天罰か 神々の歌はみんなみんな甘い

オルガンのユダが近づいて「そろそろお家に帰りなよ」
嫌な奴にみんな氷の微笑みをくれてやる彼女の瞳は
痛みは愛はメロディは しかし全部全部空虚だった
オルガンのユダは悲しんで「さあ歌を歌ってごらん」

私はスパンクハッピー あなたに買われに来た